独立行政法人病院機構医王病院倫理審査委員会手順書

(目的)

第1条 本手順書は、独立行政法人国立病院機構医王病院倫理審査委員会規程(以下「倫理審査委員会規程」という。)に基づき、独立行政法人国立病院機構医王病院倫理審査委員会(以下「倫理審査委員会」という。)の運営に関する手続及び記録の保存方法等を定める。

 

(用語の定義)

第2条 この手順書における各種用語の定義はこの手順書において特に定めるものを除き、独立行政法人国立病院機構臨床研究等倫理規程(平成16年規程第61号)の定めるところによる。

 

(倫理審査委員会の審議理念)

第3条 倫理審査委員会は審議を行うに当たっては、特に次の各号に掲げる観点に留意しなければならない。

一 被験者の人権の擁護

二 被験者への不利益と医学上の利益又は貢献度の予測

三 被験者の理解と自発的同意

 

(倫理審査委員会の役割)

第4条 倫理審査委員会は、医王病院の院長(以下「病院長」という。)から研究の実施の適否等について意見を求められたときは、倫理指針に基づき、倫理的観点及び科学的観点から、当該病院の研究者等の利益相反に関する情報も含めて中立的かつ公正に審査を行い、文書により意見を述べる。

2 倫理審査委員会は、第1項の規定により審査を行った研究について、倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を行い、病院長に対して、研究計画書の変更、研究の中止その他当該研究に関し必要な意見を述べることができる。

3 倫理審査委員会は、第1項の規定により審査を行った研究のうち、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、当該研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するために必要な調査を行い、病院長に対して、 研究計画書の変更、研究の中止その他当該研究に関し必要な意見を述べることができる。

4 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

5 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、第1項の規定により審査を行った研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点並びに当該研究の実施上の観点及び審査の中立性又は公正性の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに倫理審査委員会の設置者に報告する。

6 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、審査及び関連する業務に先立ち、倫理的観点及び科学的観点からの審査等に必要な知識を習得するための教育・研修を受けるものとする。また、その後も、適宜継続して教育・研修を受けるものとする。

 

(構成及び会議の成立要件等)

第5条 倫理審査委員会は、病院長が指名する委員によって構成することとし、委員の構成は、研究計画書の審査等の業務を適切に実施できるよう、次の各号に掲げる要件の全てを満たさなければならず、第1号から第3号までに掲げる者については、それぞれ他を同時に兼ねることはできない。会議の成立についても同様の要件とする。

医学・医療の専門家等、自然科学の有識者が含まれていること。

倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者が含まれていること。

研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者が含まれていること。

国立病院機構に所属する職員以外の者(以下外部委員という。)が複数含まれていること。

男女両性で構成されていること。

5名以上であること。

2 委員の任期は1年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じたときは、これを補充し、その任期は前任者の残任期間とする。

3 倫理審査委員会に委員長及び副委員長を1名ずつ置き、委員長は副院長、副委員長は第1診療部長をもってこれにあてる。

4 委員長に何らかの事由があり職務を行えない場合には、副委員長が原則としてその職務を代行する。また、委員長及び副委員長が供に職務を行えない場合には、委員の互選により委員のうち1名がこれを行う。なお、副委員長以外の者が代行する場合には、議事録等に代行する旨とその理由を記録する。

 

(倫理審査委員会事務局)

第6条 倫理審査委員会事務局は、委員長の指示により、次の各号に掲げる業務を行うものとする。

一 倫理審査委員会の開催準備

二 倫理審査委員会の審査等の記録(審査及び採決に参加した委員の名簿を含む)の作成

三 審査結果通知書の作成及び病院長への提出

四 記録(議事要旨、研究計画書、倫理審査委員会が作成する資料等)の保存

五 第10条に規定する迅速審査の依頼

六 その他倫理審査委員会に関する業務の円滑化に必要な事務及び支援

七 倫理審査委員会の組織及び運営に関する規程並びに委員名簿について倫理審査委員会報告システムにおける公表 

八 倫理審査委員会の開催状況及び審査の概要について倫理審査委員会報告システムにおける年1回以上の公表

九 事務局は管理課に設置する。

 

(倫理審査委員会の業務)

第7条 倫理審査委員会は、その責務の遂行のために、病院長から次の各号に掲げる最新の資料を入手しなければならない。

一 研究計画書

二 説明文書・同意文書又は情報の通知・公開用文書

三 研究責任者の履歴書

四 当該病院以外と実施する多施設共同研究の場合においては、共同研究機関における研究計画の承認状況、インフォームド・コンセントの取得状況等の情報

五 その他、倫理審査委員会が必要と認める文書

 

2 倫理審査委員会は、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針及びヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針が適用される臨床研究(以下「倫理指針対象研究」という。)の適正な実施が図られるよう本手順書に定めるところに従い調査審議し、記録を作成する。

3 倫理審査委員会は、研究責任者に対して倫理審査委員会が倫理指針対象研究の実施を承認し、これに基づく当該病院長の許可が文書で通知されるまで被験者を倫理指針対象研究に参加させないように求めるものとする。

4 倫理審査委員会は、研究責任者に対して、以下の事項を所属する病院長を経由して倫理審査委員会に速やかに文書で報告するよう求めるものとする。

一 被験者に対する危険を増大させる又は指針対象研究の実施に重大な影響を及ぼす可能性のある変更

二 侵襲を伴う研究における重篤な有害事象

三 被験者の安全又は倫理指針対象研究の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報

四 倫理指針対象研究実施期間中における審査の対象となる文書の追加、更新又は改訂が行われた場合の当該部分

5 倫理審査委員会は、実施中の倫理指針対象研究について、進行状況を随時把握し、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回(年度当初)の頻度で倫理指針対象研究が倫理指針に適合し、適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。なお、必要に応じて倫理指針対象研究の実施状況について調査し、必要な場合には、文書により倫理指針対象研究を実施する病院長に意見を通知するものとする。

6 倫理審査委員会は、本手順書の改正が必要な場合は、これを審議する。

7 倫理審査委員会は、組織及び運営が倫理指針に適合していることについて、厚生労働大臣等が実施する調査に協力する。

 

(倫理審査委員会の運営)

第8条 倫理審査委員会は、委員長が召集する。

2 倫理審査委員会は、原則として毎月開催(開催頻度は適宜変更)するものとするが、委員長が開催の必要がないと判断した場合は開催せず、また、委員長が必要と認める場合には臨時に開催することができる。

3 倫理審査委員会の開催に当たっては、第6条に規定する倫理審査委員会事務局から原則として開催日の1週間前までに、委員に対し文書で開催日等を通知するものとする。

4 倫理審査委員会は、第5条に示す要件を満たす場合においてのみ、その意思を決定できるものとする。

5 採決に当たっては、審査に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。

6 審査の対象となる研究の実施に携わる研究者等は、倫理審査委員会の審査及び意見の決定に同席してはならない。ただし、倫理審査委員会の求めに応じて会議に出席し、当該研究に関する説明を行うことはできる。

7 審査を依頼した病院長は、倫理審査委員会の審査及び意見の決定に参加してはならない。ただし、倫理審査委員会における当該審査の内容を把握するために 必要な場合には、倫理審査委員会の同意を得た上で会議に同席することができる。

8 次の各号に掲げる委員は、自らが関与する倫理指針対象研究について情報を提供することは許されるが、当該倫理指針対象研究に関する事項の審査及び採決への参加はできないものとする。

一 審査対象の研究の依頼者である役員又は職員その他依頼者と密接な関係を有する者

二 審査対象の倫理指針対象研究の研究責任者と密接な関係を有する者

三 審査対象の倫理指針対象研究を実施する病院長、研究者等

四 その他、審査対象の倫理指針対象研究と密接な関係を有すると倫理審査委員会が判断した者

9 倫理審査委員会は、審査の対象、内容等に応じて有識者に意見を求めることができる。

10 倫理審査委員会は、特別な配慮を必要とする者を被験者とする研究計画書の審査を行い、意見を述べる際は、必要に応じてこれらの者について識見を有する者に意見を求めることができる。

11 倫理審査委員会の意見は、全会一致をもって決定するよう努める。全会一致とならない場合は、出席している委員の3/4以上の意見をもって委員会の意見とすることができる。

12 倫理審査委員会の意見は次の各号のいずれかとする。

     承認

     条件付承認

     却下

     既に承認した事項を取消(研究の中止又は中断を含む。)

     継続審議

13 倫理指針対象研究について審査を依頼した病院長は、倫理審査委員会の審査結果に対して異議のある場合は、理由書を添えて倫理審査委員会に再審査を請求することができる。

14 倫理審査委員会は、審査及び採決に参加した委員に関する記録、審査の記録(以下「会議の記録」という。)及びその概要を作成し保存するとともに、原則として、公開するものとする。ただし、個人情報等の人権、研究の独創性、知的財産権の保護及び競争上の地位の保全に支障が生じるおそれがある部分は、倫理審査委員会の決定により非公開とすることができる。この場合、当該部分を非公開とする理由を公開することとする。

15 倫理審査委員会は、審査終了後速やかに、審査の経過及び結果を文書により病院長に報告する。

16 倫理審査委員会は、審査対象となる課題が独立行政法人国立病院機構医王病院研究利益相反審査委員会規程に定める独立行政法人国立病院機構医王病院研究利益相反審査委員会の審査を受けた場合は、当該審査委員会から倫理指針対象研究の利益相反に関する審査結果の報告を受け、当該倫理指針対象研究の実施について利益相反を含めて総合的に判断し実施又は継続の適否について審査する。

 

(倫理審査委員会への付議等)

第9条 倫理指針対象研究審査の依頼については、病院長が行うこととする。

 

(迅速審査)

第10条 倫理審査委員会は、次項に定める手続きにより迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象は、次の各号のとおりとする。

一 侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査

二 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査

三 その他、既に倫理審査委員会において承認済みの倫理指針対象研究における研究計画に係る以下に定める事項の審査

イ 研究責任者の変更に係る審査

ロ 研究の資料の軽微な変更の審査

1. 1年を超えない研究実施期間の延長

2. 研究代表者の職名変更

3. 研究責任者の変更及び追加

4. 誤植訂正

 

 

迅速審査は委員長が指名する者により行い、第8条第12項に従って判定し、病院長に審査結果を報告する。第6条に示す倫理審査委員会事務局は、次回の倫理審査委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。なお、迅速審査の結果の報告を受けた委員は、委員長に対し、理由を付した上で、当該事項について、改めて倫理審査委員会における審査を求めることができるものとする。この場合において委員長は、相当の理由があると認めるときは、倫理審査委員会を速やかに開催し、当該事項について審査する。

 

(記録の保存)

第11条 倫理審査委員会における記録の保存は倫理審査委員会事務局が行う。

2 倫理審査委員会において保存する文書は以下のものである。

        当該手順書

        倫理審査委員会の委員名簿

        倫理審査委員会において審査・報告となった資料及び倫理審査委員会に提出されたその他の資料

        会議の議事要旨(審査及び採決に参加した倫理審査委員会委員名簿を含む。)

        書簡等の記録

        その他必要と認めたもの

3 前項に掲げる記録の保存期間は、当該研究の終了について報告される日までの期間(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものに関する審査資料にあっては、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間)とする。

4 前項に掲げる記録の保管場所については、管理課内の施錠が可能な保管庫とする。

 

(情報の公開)

第12条 本手順書、委員名簿及び会議の記録の概要(ただし、第8条第14項ただし書に定める場合を除く。)を公開するものとする。

 

(厚生労働大臣等への報告)

第13条 倫理審査委員会は、倫理審査委員会の委員名簿、開催状況、委員の出席状況、会議の記録の概要及び審査時間その他必要事項について年1回厚生労働大臣等に報告する。

 

(雑則)

第14条 病院長は、倫理審査委員会設置規程に定める他、本手順書の実施に当たって必要な事項を、倫理審査委員会の意見を聞いて定めることができる。

 

(改正)

第15条 本手順書の改正が必要な場合には、倫理審査委員会で審議し、病院長が改正を行う。

 

 

附則

(施行期日)

この手順書は、平成21年4月1日から施行する。

この手順書は、平成27年4月1日に一部改正する。